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日中韓3カ国俳優出演・柿喰う客『Wannabe』稽古場レポート!

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6月18日(金)にアトリエ春風舎に柿喰う客『Wannabe』の稽古場を訪問しました。

演出の中屋敷法仁さんは1984年生まれの26歳、中国・韓国からの出演者も同世代という、今回のBeSeTo演劇祭の中で最も若手のチームです。
出会って間もない間柄とは思えないほど、皆リラックスして元気!放っておいたらいつまでもおしゃべりをしてるんじゃないかと思うほどです。「国際交流」というと、なんとなく肩に力が入ったものをイメージしてしまいそうですが、柿喰う客の稽古場にカタいムードはありませんでした。お互いに相手に興味をもって関わり合っているというのが、すごく稽古場の空気をやわらかくしていて、ひょっとすると日本人だけの場合よりも、自由なんじゃないかと感じるくらい。

この日の稽古は、ゲームを取り入れたワークショップのあと、台本をそれぞれ役を変えて読みました。
本読みも、チームの雰囲気そのままに、みんなのびのび。初めての掛け合いでもそれぞれの魅力が表に出ていました。これは…面白くなりそうです。

通訳の方がいない日だったので、互いに持てる英語力を駆使してなんとかコミュニケーションを取り合いました。その中で、本読みの前に中屋敷さんが、演技する前提として説明していた、
「われわれはふだん違う言葉を使ってるから、コミュニケーションをとるのが難しい。難しいからこそ、コミュニケーションしたい」
という言葉が印象的。作品の内容も、まさにそういう感じです!

公演は来週29日(火)からです。詳細はこちら

あと、目立たないことですが、なんということのない稽古の進行の中で、柿喰う客のメンバーが中韓の俳優たちを引っ張って、ともに演劇をつくる仲間として巻き込んでいく力強さがありました。招いた側のホスピタリティと積極的な関わり。国際交流にとって、こういうスタンスはとても大事なことだと改めて感じました。

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稽古終了後、作・演出の中屋敷さんに少しお話をうかがいました。

***

・とりあえず、3カ国の共同作業、中国・韓国の俳優の方たちとの作業を始めてみて、どうですか。
みんなすごく視野が広いなというのがわかりました。こちらが「こういうことをやりたんだけど」ということになんでもきてくれる。
ほんとに、なんでも怖がらずに飛び込んできてくれるので、とても肝が座ってるなと。こんな日本の、ジャパニーズの若い演出家だけどオープンにやってくれますね。
ゲームをやってて、こちらがふざけてパンチとかしても、すぐ飛び込んでくるし(笑)「とりあえずやってみる」というスタンスがあるというか。
それは、日本の柿喰う客のメンバーもそうなんですけど、みんな飛び込むときに恐れがない、まったくみんな臆してないのがいいかなぁと。それが若さなのかな。コミュニケーションにまったくビビってない。

・見てると、「国際交流してるな」って空気が充満してますよね。
みんな笑顔ですよね。
べつになにか「いいこと」みたいなのはしてないんですけどね。「いっしょにしゃべってみよう」とか「やってみよう」とかやっているだけなんですけど。

・これから先のプロセスに何を期待しますか?
お互いを尊敬しあうことはもちろんなんですけど、そこにとどまらず、お互いけなし合えるくらい、「もうほんとにどうしようもない奴らだな!」ていうくらいお互い愛し合えるのかいいのかなと思ってますね。こいつらはすごい!ていうところじゃなくて、いとおしすぎて、「おまえらほんとにダメだな!こういうところが!」とか「しょうがないなぁ!」というくらいの愛着が…そうですね、愛情というか「愛着」がもてるような、そういう座組の作品になればいいんじゃないかと思いますね。いま僕は俳優さん11人がどうしようもなく可愛いので。

***

若い世代だからこそ生まれる、日中韓の垣根を飛び越えた新しい国際共同制作の作品が生まれるんじゃないでしょうか?!期待が膨らみます。
どうぞお見逃しなく!

第17回BeSeTo演劇祭 平田オリザ実行委員長にきく (3)

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・今回のプログラムのそれぞれの特徴をお聞きしたいのですが。
今回は非常に良いプログラムを組むことができたのではないかと思います。
中劇場は、日本からは、高野山の声明と、鈴木忠志さんの『シラノ・ド・ベルジュラック』。
中国の川劇『欲望の海』(川劇=四川省の伝統的な仮面劇)は見た目が面白いのと、それがオニールのこの作品をやるというのはすごく落差があって面白いのではないかと。
それから韓国の『リア王』。この演出家のイ・ビョンフンさんというのは僕と一緒に『その河をこえて、五月』を創った、韓国でも最も安定した演出家だと思います。
それからアゴラの3演目は、それぞれ中堅の、僕と同世代の演出家の作品。
日本は、鳥の劇場の日中韓合同公演がアゴラにやってくる。
あと、とくに中国の小劇場を観るのは非常に珍しいことなので、これは期待していただきたい。王さんが「ぜひアゴラでやりたい」ということで持ってくる作品です。「狭いですよ」て繰り返して言ってきたんですけど(笑)

・しかも項羽と劉邦ですからね。
そうそう。どうやってアゴラでやるのか、楽しみなところですね。
実はいま私の『眠れない夜なんてない』を韓国で上演しているんですが、『そんなに驚くな』のパク・グニョンさんは、その演出家です。パクさんの普段の作風は僕と違っていて、幻想的、また暴力的な作風。そのミスマッチな部分がありながら、実は作家性という部分では、僕と通底してるのではないかということで、『眠れない夜なんてない』は韓国でも評判になっています。僕よりひとつ下の1963年生まれなので、共有してるものも多いですし、楽しみです。『そんなに驚くな』は題名どおり。驚く(笑)。驚きます。
あと、青年団の『東京ノート』は新国立劇場の特設会場でやるということで、これも画期的なことです。
あとアトリエ春風舎でやる柿喰う客の『Wannabe』。中屋敷くんには、じっくりとアトリエに装置を組んで稽古をしてもらって、中国、韓国からも一緒に創る気構えのある俳優がくるので、ぜひこれを、いずれは韓国や中国にも持っていけるものにしてもらいたいですね。

・20回に向けてどう変化していくのでしょうか。
ヨーロッパでは「欧州文化首都」というのが毎年2つくらい定められて芸術祭みたいなのがまわっていくんですよ。そういうものに発展させていくというのがあると思います。
BeSeTo演劇祭はこのままの形で続けていくのかもしれないけど、もう少し、東アジア全体のものとして発展させていきたい、ということがひとつ。演劇に限らず、3カ国に限らず、東南アジアも含めて。
それから、共同制作を広めていきたい。若い人達にそういう機会を経験してもらいたい。共同でものをつくる機会。でも17年前にはそんなことはなかなか経験できるものではなかったのが、今回中屋敷くんのような若手が20代で経験できるというのは、まあすごく進歩したということだと思います。
F/T(フェスティバル/トーキョー)も始まりましたし、日韓は民間ベースでの交流はもう相当深まっているので、BeSeToはBeSeToなりの特色を出していかなければいけないと思うんですね。
ただこの点で大きいのは、とくに中国は、一応共産主義の国なので、国家というのが強いんですね。民間レベルではできないことがあって、そのパイプをつなげておくことは非常に重要なことなんです。そういう意味ではBeSeToという枠は残しつつ、広げていったり、形を変えていったりしたほうがいいんじゃないかな、と僕は思いますね。

・最後に観客の皆様に一言お願いします。
演劇祭の面白さというのは、ある一定期間内に集中してフェスティバルディレクターの世界観を観るというのが面白いところなので、ぜひこの機会に、9演目全制覇をしていただきたいと思いますね。


(おわり)

※2010.5.22収録

PV第3弾『シラノ・ド・ベルジュラック』と紀伊國屋書店新宿本店でフェア開催!

続けていきます、PV第3弾は『シラノ・ド・ベルジュラック』!
第17回BeSeTo演劇祭新国立劇場公演のラストを飾るに相応しい壮麗な大作です。

思わず息を呑む舞台の美しさ!
スズキ・メソッドによる演技の緊張感!
空間に充溢する動物性エネルギー!
日本、アジアを超えて、世界で絶賛される鈴木忠志の代表作です。

本当の魅力は劇場でしかわかりませんが、その氷山の一角でも伝われば。




実はこのPV、紀伊國屋書店新宿本店の店頭でも放映されます。

  今こそ!人文書宣言第13弾「演劇への道、演劇からの道」
   場所:紀伊國屋書店新宿本店 5階人文書売場A階前フェア台
   期間:6月26日(土)〜7月26日(月)
    http://bookweb.kinokuniya.jp/bookfair/jnsuzukitadashi01.html

第17回BeSeTo演劇祭開催記念ということで、演出家鈴木忠志が薦める「演劇書」とともに、このPVが店頭でご覧いただけます。
新国立劇場と紀伊國屋書店新宿本店、場所も近いことですし、
期間中、ぜひ一度足を運んでみてください。

PV第2弾は川劇です!

大変お待たせしてすみませんでした。
PV第2弾公開です!

第2弾は『川劇 欲望の海』
中国伝統劇の華麗な舞と美しい歌唱、
それに現代の物語と美術が融合した、
まさにハイブリッドな舞台です!

中国の一流劇団が魅せる、歴史の現在(いま)を感じてください!


第17回BeSeTo演劇祭 平田オリザ実行委員長にきく (2)

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・中国・韓国の演劇状況というのはどういう感じなんですか。
中国はやっぱりね、いろんな意味で日本とはスケール感が違うんで、例えば、ちょっと売れると、地方にいって大きなミュージカルを創ったり。あとTV出演とかも日本とはケタ違いなんですよ。四川省なら四川省だけで1億人いるわけ。日本と同じマーケットがあって、独立したテレビ局があって、言葉も違うからそこでドラマも作ってる。だから四川省出身の俳優で北京で成功したりしたら、四川にもどっていけば、楽に暮らせたりする。マーケットの違いは中国で暮らしてみないと想像が付かないものがある。
そういう意味ではまだ、日本や韓国みたいに小劇場が発達しにくいんですけど、もう数年たって、いまよりも中産階級が増えてくると、小劇場演劇がもっと盛んになってくるのは間違いないでしょうね。
韓国は最も俳優の層が厚いということがよくいわれます。演劇科のある大学が45くらいあるかな。人口比も考えると日本の10倍ある。それが韓流ドラマや映画を支えているわけです。作家という意味ではまだ日本のほうが輸出しているというか、僕の作品もよく上演されていて、まだ日本のほうが勝ってるかなと。演出に関してはそれぞれ多様ですけど、これも日本のほうがバリエーションがあることは確かですね。
この間もパク・グニョンさん(今回の参加作品『そんなに驚くな』演出。劇団コルモッキル主宰)が言っていたんですが、やっぱり日本のほうが小劇場の歴史がちょっとだけ長いので、韓国の演出家にとって羨ましいのは、日本には年寄りの俳優が小劇場にたくさんいることだそうです。韓国は55,6歳が一番上というような感じ。
お国柄によって、いいとこと悪いところがあるんですね。日本の場合には教育が圧倒的に弱い。中国も国立の学校があって、ものすごい訓練受けてる人たちだから、中国が一番プロとアマチュアの違いがはっきりしていますね。「国家一級俳優」「国家二級俳優」とかって感じで。プロの俳優はみんな国家公務員だから。

・作品の質という点ではどうでしょうか?
それぞれ特徴があって、韓国なんかでもまだ民主化されて20年くらいなわけです。そうすると、韓国の作家たちがよくいうことだけれども、それ以前の韓国の作家は反体制的なものが多くて、そのあと、90年代に全部自由化されたときに、「何を書いていいかよくわからなくなった」と。実際日本の作家の作品がよく上演される。パク・カンジョンさん(劇団PARK主宰。『東京ノート』をソウルを舞台に翻案し『ソウルノート』を上演。昨年逝去)がよく言っていたのは「まだ同時代的な作品を書く作家が韓国に少ない」と。それで、『その河をこえて、五月』を一緒につくったキム・ミョンファさんとか、若い世代の悩みのようなものを繊細に書く作家がようやくでてきた、という状況です。
体制の違いもありますが、そういう流れからすると、中国もこれから先、ある種、人間を見つめる、とかそういう作家が出てくるでしょうね。
現時点で、中国で人気があるのは、大衆性の強いもの。ミュージカルとかの大作がたくさんあって。一方で「話劇」といわれる新劇の歴史もあるんですけど、これはリアリズム演劇というか、文字通り社会主義的なリアリズム。それに対して小劇場的な演劇も出てきてはいるんですけど、まだ大きな流れになっているわけではないんですね。それはこれからだと思います。
アゴラでやる『覇王歌行』は新劇と小劇場の中間くらいかなと。

(つづく)
プロフィール

BeSeTo Festival

Author:BeSeTo Festival
BeSeTo演劇祭1994年に創設されました。
第1回のソウル開催以来、韓国・日本・中国の順に3カ国で開催されています。

17回目にあたる今年、2010年は6巡目の日本開催となります。

BeSeTo演劇祭公式サイト
http://www.beseto.org/

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